STORY

JUMP-JAMがあるから児童館に行く。
みんなでゆるく、対等に遊べるから楽しい!

2020.12.18

国立市矢川児童館では、平日夕方の4時から毎日1時間程度JUMP-JAMを実施しています。新型コロナウイルス感染症の影響で、矢川児童館も一時期は臨時休館していましたが、現在は消毒や換気などの感染対策を行いながら開館しています。長引く自粛生活で子どもたちの体力低下が心配される中、子どもたちは日々どんなふうに身体を動かしているのでしょうか。週に2,3回程度、JUMP-JAMに参加しているという小学生の女の子たちにお話を伺うことができました。

■コロナの影響で、学校でも運動する時間が減った

まあささんとこゆずさんは、現在小学5年生。同じクラスの仲良しな同級生です。JUMP-JAMが矢川児童館で始まったのは2年前ですが、まあささんは1年前くらいから、こゆずさんは始まった当初から参加しているそうです。そんな二人に、最近の運動状況について聞いてみました。


―普段はどんな運動をしていますか?
学校では、休み時間にバレーボールやバドミントンをやっています。ときどき小学1年生とかほかの学年の子とも一緒にやります。鬼ごっこも男女混ざってやったり。児童館だと、卓球や一輪車、ホッピングをしたりして遊んでいます。


―運動は得意な方ですか?
二人とも得意かな。走るのが好き。まあさはバレーボールが好きで、こゆずは100メートル走で男子を抜かしちゃうくらい。ダンスもとっても上手。


―コロナの前後で運動することに変化はありましたか?
運動する時間は減りました。いまは一日15分くらいかな。前は30分くらいはやっていました。体育の授業も少しずつ増えてきたけど、大人数にならないように時間を分けたりしています。運動会も中止になっちゃって、学年で時間を分けて「ミニ運動会」をやることになりました。



■運動神経に関係なく、ジャンケンでも遊べるところが好き

JUMP-JAMとの出会いは、二人それぞれのきっかけがありました。まあささんは、矢川児童館でJUMP-JAMを担当する向井真規子さんに声をかけられたこと、こゆずさんは、以前スポル品川で行われたJUMP-JAMのイベントに遊びに行ったことが始まりだそうです。当初は参加するだけだった二人も、今では他の子どもたちにJUMP-JAMのゲームの遊び方を率先して教えるほど、リーダー的な存在になっています。


―JUMP-JAMのプログラムで好きなものはなんですか?
ひっこしとか、線上をかけるオニ、奪取ダッシュとかかな。走るのが多いです。みんなもひっこしが好き。何も考えなくてもすぐできるからです。

―JUMP-JAMはどういうところが好きですか?
あまり体力を使わなくて、ゆるめに遊べるところ。あと運動神経に関係なく、ジャンケンとかでもみんなで遊べるところです。暑かったり寒かったりしても、室内で遊べるのもいいです。中学生や高校生と一緒に遊ぶときもあります。でも中高生はルールを破ったり、楽しむんじゃなくて勝つことにこだわったりするから、ちょっとうるさいです(笑)。

運動が得意で活発な印象の二人。学校で身体を動かす時間が減った分、児童館でのJUMP-JAMの時間を楽しんでいるようです。また学年や学校の枠を超え、同じルールのもとで対等に遊べることも楽しさにつながっているようでした。



■どのゲームで遊ぶか、子どもたち自らが決める

こゆずさんは、JUMP-JAMが始まった当初、児童館に来ていた何人かでどのゲームをやりたいか話し合ったそうです。その話し合いをもとに、JUMP-JAMのゲームブックに自分で付せんを持ってきて目印を付けていました。

―この付せんはどういう意味ですか?
最初の頃にやってたから、今はもうはっきり覚えてないかな(笑)。たしか、どれをやりたいか、みんなで楽しめるか、小さい子も参加できるかとかで色分けをしました。(こゆずさん)



―いつもどんなふうにやりたいゲームを決めていますか?
普段からゲームブックをよく見て、「今日はこれをやってみたい!」ってみんなで決めたりします。(まあささん)


―JUMP-JAMをやり始めて何か変わったことはありますか?
児童館に行く機会が多くなりました。楽しむきっかけが増えたから。JUMP-JAMのために行くこともあります。友だちと行ったりもするけど、たまに一人で行くときもあります。JUMP-JAMをやるときは、その日その時に児童館にいる子たちと集まって遊ぶから、一人で行っても楽しいです。(まあささん)

向井さんによれば、二人とももともと面倒見は良いけれど、JUMP-JAMに参加し始めてから小さい子を遊びに誘ってくれたり、下級生の意見を聞いてくれたりするようになったそうです。きちんと周囲を気遣う二人に、高学年らしいリーダーシップを感じます。



■走るのが難しければ、走らない遊び方にすればいいだけ

「おーい!みんなJUMP-JAMやるよー!」という向井さんのかけ声で、その日もJUMP-JAMの時間が始まりました。外遊びをしていた子も室内の運動スペースに集まり、まあささん、こゆずさんを含む7人の子どもたちが遊び始めました。


「今日は何やりたい?」とまあささん。こゆずさんもみんなに意見を聞きます。そこには少し前に足をケガし治ったばかり女の子も来ていました。その子とも一緒に遊ぶにはどうしたらよいか、みんなで考えます。「じゃぁ今日は走らなくてもいい遊び方にしよう!」などと工夫して楽しんでいました。

まあささんとこゆずさんは、初めて参加する子にも率先してルールを教えてあげていました。向井さんも一緒に参加しますが、どのゲームでどう遊ぶかは子どもたちに任せているそうです。子どもたちからたくさんアイデアを出してくれるので、参加する子どもたちによってその都度ゲームの内容も変わっていくそうです。

例えば、運動が不得意な子どもたちが参加する場合、最初は動きが少ないものを選んで遊びたいと言います。それから徐々に動きが多いものへと移っていきます。子どもたちは一度遊んで楽しいと思ったら、「またやろう!」と必ず集まってくるのだそうです。身体と心で楽しんでいる様子が、子どもたちの笑顔からも伝わってきました。


向井さんは、「JUMP-JAMは他の遊びとはちがい、きっかけさえ与えてあげれば自然に楽しく遊んでいるうちに子どもの持つ本来の力を引き出してくれます。運動能力だけではなく、協調性や創造性も身に付くのではないでしょうか。JUMP-JAMを通じて成長していく子どもたちの姿を見るのが楽しみです」と語ってくれました。

自ら積極的に考え、楽しさを見出している二人。JUMP-JAM以外の児童館での遊びやイベントでも、どうやったら楽しくなるか、主体的に企画しているそうです。JUMP-JAMを通じて、生き生きと活躍している二人の姿に頼もしさを感じました。



(写真 平林直己)
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