STORY

みんなで決めて、みんなで遊ぶ。学校や学年が違っても、運動が苦手でも楽しめる。
だからJUMP-JAMが好き!

2019.08.15

目黒区平町児童館では、平日は毎日5時30分より20分間JUMP-JAMを実施しています。子どもたちはどんなふうにJUMP-JAMを楽しんでいるのでしょうか。キッズリーダーのお二人に話を聞いてきました。

■みんなで『楽しかったね』と言えるから好き



JUMP-JAMを実施している児童館では、2019年2月からキッズリーダーの活動を始動しています。
キッズリーダーは、子どもたちがより意欲的にJUMP-JAMの活動に取り組んでいけるように、児童館を利用している子どもたちの中から、他の子どもたちによい影響を与える存在になってもらうことを目指した新たな取り組みです。


モナミさんは、現在小学5年生。4年生の時に学童保育クラブの移動に伴って、新しくできた平町児童館に来るようになりました。

7歳までニュージーランドで暮らし、あまり運動はしていなかったというモナミさん。今でもリレーは少し苦手。「バトンの受け渡しが落としそうで怖いから」と恥ずかしそうに笑います。

TMK(平町キッズスタッフ)の一員として活動をしていましたが、一体いつからJUMP-JAMで遊ぶようになったのか、よく覚えていないそうです。JUMP-JAMがある日突然イベントのように始まったのではなく、子どもたちに自然に受け入れられたことが伺えますね。現在週に3回くらいはJUMP-JAMで遊んでいるそうです。


―JUMP-JAMはどういうところが好きですか?

みんなと仲良く遊んで、『楽しかったね』って言いあえるところや、いろいろな学校や学年のお友達と遊べるところです。


―JUMP-JAMの、キッズリーダーはどういうことをやるのですか?

今日は何をして遊ぶか決めたり、その時のルールを決めたりします。


―みんなの意見が分かれたときにはどうしますか?

多数決で決めます。

多数決で決められない時もたまにあって、そういう時は、「時間がかかっちゃうと遊ぶ時間がなくなるよ」と言います(笑)。

―JUMP-JAMのプログラムで好きなものはなんですか?

島おにです。


―キッズリーダーになってみて、どうですか?

先生たちのお手伝いをするのも、楽しいです。児童館でやるフェスタのお手伝いや受付をすることもあります。



■身体を動かすことが、前より楽しくなってきた



もう一人のキッズリーダーであるあかりさんも5年生。モナミさんととても仲が良いのですが、学校の校区は違うそうです。身体を動かすのはちょっぴり苦手だったそうです。

―JUMP-JAMはどんなところが楽しいですか。

色々な人と遊べるところです。


―キッズリーダーは大変だなと思うところはありますか?

最初は、みんなの意見をまとめることや、JUMP-JAMの遊びのルールを説明するのが大変だったけれど、今は慣れたのでそんなに大変ではありません。

JUMP-JAMはアレンジがしやすいので、みんなで話し合ってアレンジすることもあります。


―よく遊ぶのは、何のゲームですか?

島おにです。


―運動が楽しくなかったのは、どうしてですか?

……。なんだか面倒くさいというか…。


―JUMP-JAMに参加することで、何か変わりましたか?

今までよりは、運動が好きになりました。


―JUMP-JAMを全然知らないお友達に、JUMP-JAMについて教えてあげるときにはどういう風に言いますか?


ボールを使わないから、ドッジボールなどが苦手な子でもできるよと言ってあげます。

―JUMP-JAMをやらないときには、どんなことをしていますか?

木曜日はTMKの活動があるので、乳幼児遊戯室のおもちゃを拭くなどの手伝いをしたり、学童保育クラブに行ったりしています。


二人の話しぶりから、とてもしっかりと主体的に活動にかかわっていることがよくわかりました。


■館内放送からルール決めまで、子どもたちが自主的に活動



放課後の児童館で二人に話を聞いていると、JUMP-JAMが始まる5時半が近づいてきました。JUMP-JAMが始まることを告げる館内放送を流すのは、当番制ではなく、その日にやりたい子どもたちが自ら立候補するそうです。


「放送をやりたくて、早いときには、5時10分くらいからここでずっと待っていたりするんですよ」と館長の志田さんは笑います。


子どもたちの間で「昨日やっていたじゃん」とか「じゃあ次にやる」などと言いながら、同じ放送を人を変えて3回も4回も流している日もあるとか。自主的にやっているので児童館職員が口出しをすることはほとんどありません。

この日は、モナミさんとあかりさんの二人が館内放送を流しました。2階の事務室にある機器をスイッチオン。「ピンポンパンポーン」と放送開始の音が鳴ります。あらかじめ決められた原稿がありますが、この日は「ここをこう直した方がいいんじゃない?」と、二人で相談しながら言い回しを変えていました。「これからJUMP-JAMを始めます。地下1階のホールに集まってください」。落ち着いた声が館内に響きました。


モナミさんとあかりさんは、今年3月にスポル品川で行われたJUMP-JAMのイベントでも司会を務めました。いつも児童館での館内放送では緊張しないそうですが、大きなイベントでの司会は、目の前にたくさんの人がいてとても緊張したそうです。でも、大きな経験ができて一回り成長したのではないでしょうか。


■キッズリーダーは、低学年児童のあこがれの存在

JUMP-JAMに参加する子どもたちは一人ずつ専用のカードを持っています。ひとりずつのカードにスタンプを押すのもキッズリーダーの役目です。

今日は、島おにをしよう!とキッズリーダーが提案、反対意見はなかったようです。


島おには、島に入っていない人を鬼がタッチしたら所定の場所に並びます。鬼につかまってしまった人が復活するために、逃げる人が何周したら逃げる人の勝ちになるのかみんなの声を聞いて決めます。今日はホールを4周できたらゲーム終了と決めました。


キッズリーダーの二人が鬼になり、ゲームスタート。下級生も上級生も児童館職員も、全員が走り回り、汗だくになって遊んでいました。逆回りに走ってふざける子もいますが、叱られることもありません。

短い時間ですが、集中して遊びきることで気持ちもスッキリするようです。子どもたちは6時になると、笑顔で帰っていきました。


「低学年の子が、キッズリーダーにあこがれるんですよ」と館長の志田さん。しっかりと皆をまとめているキッズリーダーは、キッズリーダー自身の成長を促すだけではなく、低学年の子どもたちの良い手本となって、児童館全体の雰囲気をよいものにしているようです。



(取材・文 宗像陽子 写真 平林直己)
前の記事 記事一覧 次の記事